支那の同時代の鏡と比べて

いまお話した古墳から出る鏡は青銅で作つてあるので、青色の錆が出てをつても、腐つたものは少く、たいてい壞れないで土の中から出て來ます。ところが古墳に入れてあつた刀や劍の類になりますと、その數は非常にたくさんありますが、

中身がみな鐵ですから赤錆になつて、ぼろぼろに腐つてしまひ、完全に取り出すことはよほど難しいのであります。たゞ鞘の上に飾つてあつた、金めっきをした銅などの部分だけが、わりあひによく殘つてゐるだけであります。さてこの時分の刀劍の身は、みな眞すぐで、後の時代の刀のように反りがありません。また源頼朝や義經などの時代から後になりますと、皆さんも知つてゐるとほり、日本刀といふものが盛んに作られて、支那へも輸出されたくらゐでありましたが、この古い時代ではかへって支那や朝鮮からよい刀劍が輸入されたであります。
刀劍の身の形は、たいてい大した違ひはありませんが、柄の形にはいろ/\異つたものがありまして、そのうち珍しいものには、『くぶつち』の劍といふのがあります。
医学部 受験