高橋警部らにさつさと

この室を出てくれという勢なので、警部も素直に引下つて現場の取調べに着手した。私も邪魔になるといけないと思つて、さだ子の室を出て警部らの活動に見入つていた。
間もなく検事がやつて来て藤枝と暫く話をして行つた。

藤枝の言をたのしみに、私はその時間に警察へ行つたのであつた。
「余りに複雑で、余りに深刻で一体何からお話したらいいか、僕にもちよつと判らないんだが……」
五月三日午後六時すぎ、牛込警察署の一室で、奥山検事、高橋警部、木沢、野原両医師及び私を前にして、藤枝真太郎は、得意そうにエーアシップの煙をゆるやかに吐き出しながら語りはじめた。
「事件の原因、何故に林田英三が秋川一家をあんなに呪つていたか、ということ、及び事件進行中のあの一家族の者の心理状態、更に如何にして僕が、犯人は林田であるとつきとめたか、左様なことは全部あとまわしにして、まず第一に林田英三が如何なる方法であの恐ろしい犯罪を行つたか、ということを述べて見ようと思う。
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