貴様、殺すぞ!

亢奮しているようでした。すると女の方が急に、
『もうこうなったら……殺しちまう!』
というと側にあったウイスキーの罎をとって男に投げつけようとします。男はいきなり女に飛びかかってその罎をとろうとしているようでしたが、

女が死力を出しているらしく男も必死の様子でした。私がはっと驚いていると不意に男が、
と叫んでどちらの腕でしたか女の首に手をかけたようでしたが、全身の力をこめてつき仆したのです、私はもう恐しいのでその場をとんで廊下の方にゆき、誰か男の人を呼ぼうと立ち去りましたが、その時、室内で金物に何かが、がちゃんと烈しく打合る音が聞えました。
私は夢中で走って行ってボーイさんに話したのです」
急を聞いたボーイが、七号室の所にとんで行き、戸を叩きましたが内側から鍵がかかっていて開きません。
どうしようかと思って考えていると、中から鍵の音がして、戸が自然に開きました。髪は乱れネクタイが半ばちぎれたようなようすで春一が黙って立っていました。そうして一方を指しました。
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