活動した主人の力で

大分多数の人々の顔が見えた。藤枝と私は共に式に列したが、やがて式が終ると、家族及び親戚の二、三が棺と共に埋葬についてゆくというので、われわれは一旦帰ることにした。
林田もやはり帰つたようであつた。

私は自宅に戻り、窮窟なフロックコートを軽快な背広にかえるとすぐ藤枝の事務所に行つたが、ちようどそれは夕方四時すぎであつた。
「これからまた行つて見よう、いよいよ肝心なところへ来たぜ。しかしまだ家族も帰つていないかも知れないから、暗くなつてから出かけて見ようよ。君は気がついていたろうが、親戚の人々は御義理で来てはいたものの、皆何となく今度の夫人の死を怪しんでいて不気味に思つているようだつたから夜になれば皆帰つてしまうよ。銀座ででもゆつくり飯をたべてちようどいい時分に行つて見ようじやないか」
二人はそれから暫く銀座で時をつぶして、円タクをつかまえ、秋川邸へと向つたがその時はもう、銀座通りに赤い火、青い火が一杯ついて
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