ずいぶん責められたけれども

一言もあなたに会つたことは云わなかつたのよ。それでどうも私が疑われているのじやないか、と思うの。だけれどたつた一人大変親切な方があつて私をかばつていて下さるので今までは無事なんだけれど……。

ともかくそんな有様なんだから今ここにぐずぐずしていては大変よ。今言つた通り外で待つててちようだい。きつと行くから
とこう申すのです。
彼女のその時のようすは万更嘘でもなかつたらしいのですが、私はもうのぼせ切つておりますから、
『そんな事を云つて逃げようとしても駄目だ。今度こそ逃しはせぬぞ』
と云いながら彼女の右の腕のところを両手でしつかと押えました。
やす子は、ともかく今ここで話しているのを人に見られては大変と云いながら何とかして逃げようとしますので私も怒りの余り掴んだ彼女の腕をとつて二、三尺自分の方に引きずりよせした。
『あなた、ほんとうにそんな乱暴をする気なの。じや声をあげて人をよぶわよ』
と申しましたが、さすが、大きな声もあげませんでした
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